陶山神社の奉納品に説明板を設置
このほど有田町(佐賀県)の陶山神社敷地内に、指定・登録文化財の説明板が設置されました。
同神社の境内には、明治期以降に寄進された多くの奉納品が収められています。中でも、国の登録有形文化財に登録されている磁器製の鳥居のほか、幕末期の八天社への奉納品を陶山神社本殿に移設した磁器製の玉垣、佐賀や博多の鋳物師が制作した青銅製の燈籠や狛犬が町の指定文化財となっています。
これまでは案内がなかったため、磁器製鳥居以外は見過ごされがちでしたが、説明板によりさまざまな奉納品の解説を見ることができるようになりました。
卓男賞・智子賞の受賞者が決定
令和4年度の第40回卓男賞と、第8回美濃陶磁育成智子(さとこ)賞(いずれも公益社団法人美濃陶芸協会主催)が発表されました。
卓男賞(優れた作家活動と美濃陶芸の育成に尽くした事績に対し顕彰)
坂口浩史(多治見市)
智子賞(美濃陶磁の次世代を担う作家の育成を目的とし、近年の活動が顕著な作家を奨励)
大野繁保(土岐市)
(敬称略)
現代茶陶展の入賞決まる
茶道に使う陶芸作品の公募展「第14回 現代茶陶展」(岐阜県土岐市など主催)の審査会が行われ、最高賞のTOKI織部大賞として島根県の岩佐昌昭氏による「銀彩花入」が選ばれました。
今回は30都道府県の計236人から、前回とほぼ同数の310点の応募がありました。過去13回の大賞は、水指が10回、香合が1回、向付が1回、茶碗が1回選ばれており、花入れの受賞は今回が初めてとなります。
入賞者は以下の通りです。
TOKI織部大賞 「銀彩花入」岩佐昌昭(島根県)
TOKI織部優秀賞 「白萩窯変水指」岡田裕(山口県)、「ゆらぎ」田中佑子(岐阜県)、「鈍翠光彩水指翠巒」高橋朋子(千葉県)
TOKI織部奨励賞 「粉引茶碗」岩瀬健一(東京都)、「緑釉水指」黒岩達大(岐阜県)、「光纏ウ」樽田裕史(愛知県)、「七彩茶入」アーグネス・フス(長野県)、「水指」鈴木篤夫(岡山県)
(敬称略)
入賞・入選の計69作品は8月6日(土)~8月12日(金)まで土岐市文化プラザで展示されます。
95年前のタイル「見本室」保存・公開のためのクラウドファンディング
愛知県常滑市の旧杉江製陶所では、95年前にタイルメーカーの見本室(ショールーム)としてつくられたものを、長く事務所などに使っていました。これは、当時の技術とデザインの精髄をそのまま観ることが出来る、現在数例しか残っていない希少なものでした。1メートル四方で張り方のパターンを見せ、当時の無釉モザイクタイル、施釉陶器タイル(美術タイル)、クリンカータイル、スクラッチタイルが残されています。5月の取り壊しを知った編集者の加藤郁美さんたちが、見学会を実施し、さらには「緊急救出プ ロジェクト実行委員会」を立ち上げ、タイルを取り外し、保存と公開を目的としたクラウドファンディングを開始しました。反響も大きく、目標額の100万円を越えていますが、7月14日まで実施しています。建物の様子なども合わせてご覧いただけます。
北陸工芸の祭典「GO FOR KOGEI 2022」開幕前のシンポジウムを開催
富山、石川、福井の北陸3県を舞台にして北陸工芸の魅力を国内外に発信する取り組み、「GO FOR KOGEI 2022」が、今年も開催されることが発表されました。昨年に引き続き、重要文化財に指定された寺社仏閣3会場での展覧会に加えて、広域的なアートエリアを形成しながらさまざまなプログラムを実施します。
今年のメインプログラムである特別展「つくる─土地、くらし、祈りが織りなすもの─」では、「つくる」という行為を土地・くらし・祈りという観点から見つめ直し、工芸や現代アートといったジャンルを超えて、素材とものづくりの新たなあり方を紹介します。国内外で活躍する作家20名が出品予定です。
開催期間は9月17日(土)から10月23日(日)。その開幕に先だち、7月30日(土)にシンポジウムが行われます。
詳細は下記のとおり。
◆シンポジウム「工芸再考―アート、ポリティックス、ジェンダーの視点から」
第1部 基調講演
ゲスト:菊池裕子(金沢美術工芸大学教授)
モデレーター:秋元雄史(東京藝術大学名誉教授、練馬区立美術館館長)
第2部 パネルディスカッション
ゲスト:佐々木類(ガラス作家)、スザーン・ロス(漆芸家)、牟田陽日(陶芸家)
コメンテーター:菊池裕子 モデレーター:秋元雄史
ところ 金沢21世紀美術館シアター21
日時 7月30日(土)午後1時~5時 入場料 無料
定員 100名
お申込みはこちらから。
第62回 石川の伝統工芸展
5月号でお伝えした本展の、受賞作品のうち陶芸作品は以下のとおりです。
金沢市長賞 「真珠光彩壺」中田博士
日本工芸会賞 「幾何紋金白金彩鉢」多田幸史
奨励賞 「緑彩真麗線文鉢」宮本雅夫、「色絵染付優線描陶箱 麒麟」木戸優紀子
新人賞 「遊繊花 白黒」板屋成美
(敬称略)
第61回日本伝統工芸富山展
5月号でお伝えした本展の、受賞作品のうち陶芸作品は以下のとおりです。
北日本新聞社賞 「輪積鉢」金田比陶美
(敬称略)
下越地方の縄文文化を紹介する展覧会
火焔型土器に象徴される新潟県上越地方に対し、これまで知られてこなかった下越地方の縄文文化を紹介する展覧会が、新潟県内の4つの自治体の連携で、6カ所の会場において同時開催されています。
地味にすごい 下越の縄文時代 会期 ~9月25日(日)
※開館時間、休館日は各会場にご確認ください。
第1会場 新潟県埋蔵文化財センター
新潟市秋葉区金津93―1 ☎0250―25―3981
第2会場 新潟市文化財センター
新潟市西区木場2748―1 ☎025―378―480
第3会場 縄文の里・朝日
村上市岩崩612―118 ☎0254―72―1577
第4会場 阿賀野市歴史民俗資料館
阿賀野市福永910 ☎0250―62―5322
第5会場 胎内市美術館
胎内市下赤谷387―15 ☎0254―47―2288
第6会場 阿賀町郷土資料館
東蒲原郡阿賀町両郷甲2200 ☎0254―95―2253
東京アンティークフェア2022
日本国内より厳選された古美術店が出店し、国内外のトップクラスの古美術品を展示即売するフェアです。
場所:東京美術倶楽部 3、4階 東京都港区新橋6―19―15
日時:7月29日(金)、30日(土)、31日(日)
時間:10時~17時(最終日は16時まで)
入場料:無料
問合先:実行委員会(古美術あさひ)☎03―6228―7474
主な出展*カッコ内はブース番号
前坂晴天堂(C―9)
「~百花繚乱~古伊万里の世界」開催。鍋島・古九谷・柿右衛門・古伊万里・初期伊万里など、肥前有田磁器の優品を多数展示販売します。
利菴アーツコレクション(C―7)
日本・中国・朝鮮の鑑賞陶器の優品を出品。
古美術あさひ(C―4)
蒔絵を中心に出品。
古美術あさひ、ギャラリーオープン
東京・京橋のASビルに所在する古美術あさひが、同ビル1階にギャラリーをオープンしました。蒔絵や明治工芸を中心に展示しています。
住所:東京都中央区京橋2―9―9 ASビル
電話:03―6228―7474
景徳鎮で古陶磁器「遺伝子バンク」設立
先月、景徳鎮御窯博物院(中国江西省)において、景徳鎮古陶磁器「遺伝子バンク」のプレート除幕式が行われました。北京大学や清華大学、故宮博物院などと協力して、古陶磁器遺伝子バンクを構築する試みです。
同博物院とその前身の景徳鎮市陶磁考古研究所は、40年近くにわたる考古学活動の中で2千万枚近くの各種古陶磁器破片標本を蓄えてきました。それらを先端機器を用いて分析し、今後は物理形態とデジタル形態の「遺伝子」標本を制作する予定です。
将来的には、中国さらには世界の古陶磁器の発掘と研究、陶磁器文化の発展のためのプラットフォームとなることを目指しています。
香港に故宮博物館がオープン
香港故宮文化博物館(西九竜地区)が、7月2日(土)から一般に公開されます。同博物館は、香港特別行政区設立25周年記念事業の一環として開館。北京の故宮博物院の書画、陶磁器、玉器、染織、宝飾品、貴重な書籍など、914点の文物が展示され、中国本土以外への貸し出しとしては過去最大規模となっています。
同博物館では、ギャラリーごとに紫禁城の収蔵物などを展示するほか、パリのルーブル美術館から貸し出された美術品13点も特別展示します。